MAGAZINE / 写真との付き合い方
写真の壁にぶつかって、辞めようと思ったときに考えたいこと
角度も、時間帯も、被写体も変えた。
それでも「自分らしい写真」が分からなかった。
撮る理由を言葉にすること、写真から離れて働いた時間、届き続けた依頼。
つるたま自身の経験から、写真とどう付き合うかを考えます。
公開日:
会話は、著者の経験と問いをもとに再構成した解説です。
実際の取材や会話の記録ではありません。
経歴や「23年」という年数は、2026年3月に著者が振り返った当時の記述です。
接客人数や仕事の経緯は、2026年3月時点の著者の回想です。
キャラクターのイラストはAI生成です。
撮り方を変えても、自分らしさが見つからなかった
「自分の写真を撮れ」と言われても、何を変えればいいのか分からない。
構図や露出が安定して、以前より撮れるようになったのに、次の目標が見えない。
この記事で考えたいのは、そんな写真の壁です。
「撮り続けることが大切です」と言われても、どう続けたらいいかで迷っているんですよね。
この記事を書こうと思ったきっかけも、それでした。
ChatGPTに相談して、創作の継続やモチベーションについて助言された、という話を何人かから聞いたんです。
助言の方向は分かる。
でも、それだけでは動けないときに、もう少し具体的な話ができないかなと思って。
私は2002年から写真に携わり、週刊ゴングの専属、カメラ量販店での販売、フリーの撮影などを経験してきました。
その間には、自分自身が迷った時期も、周りの人が写真から離れていくのを見た経験もあります。
自分らしさを出そうと、角度を変え、時間帯を変え、被写体も変える。
私にも、とにかく撮っていた時期がありました。
けれど、撮り方を変え続けても、それだけでは答えが出なかったんです。
違う撮り方をたくさん試せば、いつか自分らしい一枚に出会える、と思ってしまいそうです。
試すことにも意味はあると思います。
ただ、私が振り返って大事だと感じたのは、撮った後に「なぜこれを選んだんだろう」と言葉にすることでした。
撮り続けた写真を振り返り、「自分はこういうものを見ていたのか」と捉える。
撮り方を変えることだけに、答えを求めすぎていたのかもしれません。
壁の原因を一つに決めることはできません。
生活や仕事の事情もあります。
そのうえで、自分の写真をどう判断したらいいか分からないときには、撮影した理由を言葉にすることが、一つの手がかりになると思っています。
一枚の写真に、三つの問いを向ける
言葉にするんですね。
作品を語る、立派な文章を……。
もう写真より文章のほうが気になってきました。
文章のうまさを競う話ではないんです。
「なぜこの写真を撮ったのか」「見た人に何を感じてほしかったのか」「自分は何を撮り続けているのか」。
まずは、その三つを自分の言葉で話せるかどうかです。
- なぜこの写真を撮ったのか
- 見た人に何を感じてほしかったのか
- 自分は何を撮り続けているのか
うまく撮れたかどうかだけでは、感想をもらっても、どこを変えるか決めにくいことがあります。
撮りたかったものが言葉になっていれば、その感想と照らし合わせて、届いた部分や伝わらなかった部分を考えられます。
これは、言葉が出ない人には才能がない、という意味ではありません。
自分の写真を一枚選び、三つの問いに短く答えてみてください。
言い切れなければ、「まだ分からない」と書いておいて構いません。
次に、最近撮ったほかの写真も並べ、何度も選んでいる被写体や場面がないかを見ます。
三つの問いを、自分の写真で試すための手順です。
あ、名文を書く宿題じゃなかった。
一枚の説明を完成させるより、何枚かを見て「またこれを撮っているな」と気づくところからなら、始められそうです。
自分だけで答えを出し切る必要もありません。
写真展で作品について話したり、自分の写真を誰かに見てもらったりする。
私が大事だと思うのは、正解を教わるためだけに行くのではなく、写真から何が伝わったのかを言葉にしてもらうことです。
「何を感じましたか」「どこが気になりましたか」と聞いてみる。
「どうしてこれを撮り続けているの?」と問い返してもらえたら、自分でも考えていなかった理由が出てくるかもしれません。
撮影意図と同じことが伝わるとうれしい。
でも、違う見方が返ってきても、すぐに失敗とは決めなくていい。
そのズレを聞いているうちに、自分の写真の特徴が見えてくることもあるんです。
機材の話から、写真の中身へ戻ってみる
感想は聞きたい。
でも、言われたことを全部変えていたら、自分が撮りたいものまで見失いそうです。
感想にも、今考えていることに役立つものと、別の話題につながるものがあります。
「どのカメラ?」「いいレンズですね」「レタッチはどうやったの?」という質問は、道具や技術への関心です。
それを聞くことが悪いわけではありません。
ただ、自分が何を撮りたいのかで迷っているとき、機材の説明だけで話が終わると、知りたかったことが残ります。
写真のどこを見て、何を感じたのか。
そこまで聞けると、自分の意図と受け取られ方を比べられます。
機材の話で終わったら、「写真のどこが気になった?」と聞いてみたいです。
褒められたのが機材だからといって、写真の中身がないと決める必要もないんですね。
そうです。
その一言だけで写真の価値は決められません。
私がうれしいのは、「この写真、なんだか気になる」「これをずっと撮り続けているんですか」と、写っているものや撮る理由へ話が進むときです。
写真が自分の代わりに語り始めたように感じるんですよね。
もらった言葉と、自分が伝えたかったことを別々に書いてみると、同じところと違うところを見比べられます。
違っていたら、相手がどこを見てそう感じたのかを聞く。
そのうえで、次の撮影で変えたい点を一つ選ぶ。
相手の好みに全部合わせるためではなく、自分の判断材料を増やすための往復です。
自分の言葉と、見た人の言葉を並べる
三つの問いと写真の感想を、振り返り用のメモに整理しました。
メモは保存・自動送信しません。
必要な内容は、ページを離れる前にコピーしてください。
撮れることと、仕事として続けられること
撮る技術と、続け方に迷ったときの判断は、別の難しさがあります。
著者が振り返るのは、仕事や評価を得ているように見えた人も、写真から離れていったという経験です。
「うまい人ほど辞めやすい」という一般的な法則が確認されたわけではありません。
カメラ量販店で販売していた頃は、一日に80人近くのお客さんと話していました。
カメラの話をする機会が多く、周囲のカメラマンの動向も身近でした。
フリーになってからも、仕事や評価を得ているように見えた人が、撮影をやめるのを見てきたんです。
撮れるのに満足できない、仕事が来ても続け方が分からない。
そういう迷いもあるんですね。
著者は、撮れている間に、自分の判断を言葉にする機会を後回しにしてしまうことがあるのではないか、と考えています。
ただし、他人が写真から離れた理由は、この経験談だけでは分かりません。
著者自身がフリーの仕事から離れた理由には、収入への不安がありました。
フリーの収入が安定しないなかで、この先は安定した収入で働ける道へ進もうかと考え、賃貸仲介の営業に転職しました。
そこには2年くらいいました。
写真が好きかどうかだけで、働き方を決められなかったんです。
その間も、数社から「他にいなくて」と連絡をもらい、撮影は細々と続いていました。
自分では離れたつもりでも、依頼が来る。
そこで「あ、まだ自分に頼みたいと思ってくれる人がいるんだ」と感じました。
「続けなきゃ」と自分に言い聞かせたというより、実際の依頼が、もう一度考えるきっかけになったんですね。
そうなんです。
それで、もう一回続けてみようかなと思えた。
その後、不動産分野でカメラデスクの仕事を経て、2026年3月の時点では、完全にフリーへ戻っていました。
写真で育てた見方は、別の仕事にも残っていた
賃貸仲介の仕事をしたことで、写真を見る目が変わったんですか。
そこは、むしろ逆でした。
営業では、部屋のよさを見つけて、お客さんが求めていることに合わせて伝えますよね。
自分はそれが得意だったんですが、考えてみると「この部屋のどこを見せるか」は、建築竣工写真でずっと考えてきたことでした。
不動産の仕事で新しく身につけた視点が写真に役立った、という順番ではありません。
写真で育てていた見方や言葉にする力を、不動産の仕事でも使えた。
そのことが分かったとき、「自分の持っているものは、ちゃんとあるんだ」と、少しうれしくなりました。
あ、写真から部屋の見せ方へ、なんですね。
撮影の仕事から離れても、そこで身につけた見方までなくなるわけではなかったんですね。
私には、そう感じられました。
だから、働く場所が変わったことだけで、それまでの写真の時間が無駄になったと考えなくてもいいと思うんです。
戻るためだけでなく、別の場所でその経験を使う道もある。
長く続けることについて、もう一つ思い出す出来事があります。
以前、知人がブログからYouTubeへ移りたいと話したとき、私は「今からだとハードルが高い」と伝えました。
ところが、その後も活動を続けたその人の活躍に、私のほうが驚くことになりました。
著者の予想を越えて活動を続けた知人の話には、続けることの難しさと、その先で起きる変化への驚きがあります。
一人の成功談を、誰もが続ければ成功するという約束に置き換えることはできません。
続けるかを決める前に、今の迷いを分けてみる
40代で写真を続けるか迷ったら、やっぱり続けたほうがいいんでしょうか。
年齢だけでは決められません。
私が仕事を見直したのも、暮らしや収入を考えたからです。
続ける、仕事の量を減らす、別の仕事をする。
自分が必要とする生活と、写真にどう関わりたいかを、分けて考えていいと思います。
これまでの対応力や応用力を、別の働き方で使えるかもしれない。
そうした働き方の一つに、企業内で撮影を担うインハウスフォトグラファーがあります。
ただし、経験がどう評価されるかや募集の有無は、企業や時期によって異なります。
検討するなら、実際の募集内容と、自分の経験や希望する勤務条件を見比べてください。
一方、迷っているのが働き方ではなく、「自分の写真に何があるのか分からない」ということなら、次の五つを振り返ってみてください。
該当数で危険度や才能を判定するチェックではありません。
今、どの問いから考えたいかを選ぶためのものです。
今の写真を振り返る五つの問い
何を撮りたいかを、一言で言えるだろうか
最近の写真を並べ、何度も選んでいる被写体や場面を探してみる。
なぜその写真を撮ったのか、説明できるだろうか
一枚選んで、シャッターを切ろうと思った理由を短く書いてみる。
写真の感想が、機材やレタッチの話で終わっていないだろうか
道具の話に加えて、写真のどこが気になったかを聞いてみる。
角度や時間、設定を変えることだけで、答えを探していないだろうか
変えたかったのは見た目なのか、伝えたいことなのかを振り返る。
撮れているのに満足できないのは、どんなところだろうか
できたことと、まだ伝えられていないと感じることを分けて書く。
当てはまった数より、気になる一項目を選べばいいんですね。
立派な文章は、ひとまず置いておきます。
まず、「なぜこの写真を撮ったのか」を、写真を見ながら考えるところから。
それでいいと思います。
言葉が出てこなければ、写真を見てもらえる相手に、何が伝わったかを聞いてみる。
自分の言葉と相手の言葉を並べてみたら、次に何を撮りたいか、どんな関わり方なら続けたいかを考える。
いきなり一生の結論を出す必要はありません。
考える材料が足りなければ、一枚を見直すところから。
材料が揃っているなら、自分の暮らしに合う次の一歩へ。
著者の経験から持ち帰れるのは、写真を続ける義務ではなく、自分が撮る理由を確かめるための問いです。
よくある質問
写真がうまいのに辞める人の共通点は何ですか?
この記事から、辞める人全体の共通点を決めることはできません。
著者は、撮れていても、自分が何をよしとしているかを言葉にしづらい人を見てきたと振り返っています。
自分にもその迷いがあるなら、撮影した理由を整理することは一つの手がかりです。
ただし、収入や生活など、写真から離れる事情は人によって違います。
写真の壁を越えるにはどうすればいいですか?
撮り方を変えても自分の方向が見えないなら、一枚を選び、「なぜ撮ったのか」「何を感じてほしいのか」「何を撮り続けているのか」を短く書いてみてください。
次に、誰かに見てもらい、何が伝わったかを聞きます。
自分の意図と同じ部分、違う部分を比べるためです。
技術上の困りごとが具体的なら、その技術を確かめることも必要です。
40代で写真を続けるか迷っています。
辞めるべきですか?
年齢だけで続けるか辞めるかは決められません。
著者は収入の安定を考えて賃貸仲介へ転職し、その間にも撮影依頼を受けたことが、戻るきっかけになりました。
これは個人の経緯で、再受注の保証ではありません。
必要な収入、使える時間、写真にどう関わりたいかを整理し、続ける以外の選択も含めて考えてください。
「自分の写真を撮れ」と言われても何をしていいかわかりません
まず、これまで撮った写真を何枚か並べ、繰り返し選んでいる被写体や場面を探してみてください。
そのうちの一枚を人に見せ、何が伝わったか、どこが気になったかを聞きます。
可能なら複数の人の見方も受け取ってみる。
特別な撮り方を一度で見つけようとせず、撮影の理由と他者の見方を照らし合わせるところから始められます。
ASK AI
言葉にならないところから、整理する
三つの問いや比較メモを考えるときの、相談文です。
メモ機能が使える場合は、記入した内容を確認用の文章にまとめられます。
例文を選んでコピーして使えます。
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内容を確認し、必要な場合だけコピーしてAIへ貼り付けてください。